構えについて

剣道の構えには、形に現れる構えと心の構えがある。
形に現れる構えには、上段の構え、中段の構え、下段の構え、八相の構え、脇構えの五種類の構えがある。


中段の構え
剣道の基本的な構えで攻撃にでるにも、防禦するにも最も都合のよい構えである。現在の剣道ではこの構えがいちばん有利だとされている。

竹刀や木刀の正しい持ち方
左の小指を柄頭(つかがしら)いっぱいにかけて上から握り、小指、薬指、中指を締め、人差し指と親指は軽く添えるようにする。
右手も左手と同様に上から軽く握り、小指、薬指、中指を締め、人差し指と親指は軽く添えるようにする。右こぶしは鍔よりわずかに離れるようになる。
両手とも手首を内側に入れるようにし、人差し指と親指の分かれめが竹刀の弦の延長線上にあるようにする。
両肘は張り過ぎず、すぼめすぎず、伸ばし過ぎずの状態で、力を入れ過ぎないようにゆとりを持たせて構える。
柄の長さは右手で鍔元を握り、柄頭が肘の内側あるいは外側に来る程度の長さが適当である。


構え方
自然体より半歩くらい右足を前に出し、左こぶしは臍の前一握りくらいのところよりやや低い位置になるように置く。
剣先の高さは、およそ相手のの咽喉部の高さに取り、その延長は相手の両眼の間または、左目につけるようにするが剣先を低くし、竹刀の延長線を相手の咽喉部につける方法もある。


目のつけ方
目付けとも呼ばれ、相手の目を中心に、相手の身体全体を見るように心がける。
このことは「遠山の目付」けとも呼ばれている。


足の位置
両足のつま先は前方を向き、左右の開きは一握りとし、両足の前後の開きは、右足のかかとの線にそって左足のつま先を置くようにし、そして左足のかかとを浮かせて体重を両足に均等にかけるようにする。両膝は曲げず伸ばさずの状態を自然に保つようにする。

上段の構え
体勢を正しく保ち、のびのびと大きく竹刀を頭上に振りかぶり、相手を見下し、威圧し、相手の意志をおさえ、満身に勢力を集め、正面から堂々と相手を
攻撃し、一挙に勝負する構えである。

下段の構え
中段の構えから剣先を下げ、剣先が水平になる高さから、相手のひざ下5〜6センチ辺りまで下げた範囲の構えをいう。
この構えは、攻撃しようとするよりも自分の守りを固くして相手の動きに応じて自由に変化し、適宣に対抗する構えである。

八相の構え
上段の構えを左拳を水月辺りまで下げた状態で、右拳は口の右側一握り離した位置に取り、相手の動きを監視し、相手の動きによって変化して
応じる構えである。

脇構え
左拳を右腰に取り、竹刀を自分の身体で隠し、竹刀の長さを相手に見取られぬように構えることが必要である。この構えは八相と同じで、相手の動きを
見てそれに応じて攻撃する構えである。