剣道の理念、修行に関する事


剣道と他のスポーツの違い。


剣道は、礼に始まり礼に終わるといわれるくらい、礼に対してやかましいほど指導を受ける。
確かに剣道は棒切れ(竹刀)で打ち合う。考え方によっては野蛮な競技である。
その競技が、喧嘩にもならず続けられるのは、礼がその中にあるからである。相手を、思いやる心、相手に対して自分をきたえてください。という謙虚な気持ち、その気持ちがあるからこそ
お互いに思い切りぶっつかっていける。

他のスポーツとの違いをあげると、まずこの礼に対する、心構えの違いを第一に上げたい。
テレビなどで野球やサッカーなどを見ることがあるが、ホームランや得点したときに大げさに
ガッツポーズをする。三振したときにバットを地面に叩きつける。
これなどは剣道では許されない行為である。剣道ではたとえ勝利してもガッツポーズは
許されない。
そこには自分と同じ気持ちで修行してきた相手に対する尊敬の心と、互いに力を出し切って戦った相手への感謝の気持ちを忘れてはならないからである。
これは剣道を修行していくうえで、心の鍛錬をすることにより、誰でも身に付くものであるが剣道を志す者は、いつもこのことを忘れてはならない。
又、剣道は、全身を使う身体運動であるため、足、腕をはじめ全身の筋力を強める。
血液の循環を盛んにし、新陳代謝を活発にし、内臓諸器管を丈夫にするとともに、肌の老化を
防ぎいつまでも若くいられる。
又自分の体調に合わせた運動量に調整が出来ることから、誰でも行うことができる。
剣道は体力にまかせて行うスポーツではなく、ほとんどが技により行うもので、老若男女をとわず、力の弱い女性にも、男性などと対等に稽古することが出来るのも、剣道の特徴である。
 

剣道で礼儀を大切にするのはなぜか。

古くから、礼に始まり礼に終わるといわれ、相手と竹刀で激しく打突しあう剣道では、特に礼儀を
重んじなければならない。相手に対する礼儀はもちろん大切だが、礼をただすことにより自分自身の心や態度も正せるものなのです。
したがつて常に正しい礼を身につけることが大切なのです。
また、一般に心の状態は形や態度に表れるものなので、相手に対し心に尊敬の念があれば、
必ず正しい礼の形となって現れるものなのです。
形のみにとらわれず、尊敬の念の表現とし、礼が身につくように心がけることが必要なのです。
剣道は、そもそも相手を倒すことを目的とし、心と心、身体と身体を互いに奪いあって、闘争
を行うことから発生した武術なのですが、時代の移り変わりにともない、剣客としての武技となり、その技をみがくとともに、剣の道として修行するようになり、人間形成の道となって現在の剣道が
存在します。
従って相手を抹殺するだけの野蛮な剣道や単なる棒を振る剣道では、暴力的な殴り合いとなってしまいます。
人間作りの剣道には、礼儀は欠かすことのできない根本的な要素なのです。
又、礼は剣道のみならず人間として必要条件であることもよく理解しておく必要があります。
又相手を尊敬することは、もちろんのこと、指導してくれる師に対し、あるいは修行の場である
稽古場に対し、さらには自分の身を置く生活の中すぺてに感謝の気持ちを持ち、そしてその中に
自然に礼が現れるようにしなくてはならないのです。
剣道は以上のように礼を通し、人間形成という大きな目標をもっている。
 

剣道の理念と剣道修行の心構えについて

全日本剣道連盟により、剣道の理念として次のことが示されている。
「剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である。」また剣道の修練の心構えは、「剣道を正
しく真剣に学び、心身を練磨して、旺盛なる気力を養い、剣道の特性を通じ、礼節をとうとび、信義
を重んじ、誠を尽くして、常に自己の修養に努め、以って、国家社会を愛し、広く人類の平和繁栄
に寄与せんとするものである。」

まあこんな感じでですがこれは、子供さん達には、なかなか難しい。
もう少し簡単に剣道の理念と剣道修行の関係を分かりやすく説明すると

剣道とは何か。なにをするのを剣道というのであろうか。本当の剣をもって斬り合うのをいうのか。
あるいは、竹刀や木刀を持って打ち合うのが剣道であろうか。そうではない。
ただ斬り合ったり、打ち合うだけでは剣道とはいえない。子供が竹を持って、打つべき場所を定め
、互いに打ち合い勝負を争うようなものは剣道とは呼べない。それは単に遊戯にすぎないからで
ある。
剣道は、剣の理法の修練による人間形成の道であって、その目的をもって行われるものであれば
真剣でも、木刀でも、あるいは棒切れを持っておこなっても、剣道といえるだろう。
そして、その理法を研究し、修行鍛錬していくところに剣道の真価が認められ、心身を鍛練するこ
とによって精神面、丈夫な身体、崇高なる人格などを養うのが剣道修行の目的である。

従って剣道の修行においては、以上のことを常に念頭におき、修行し、世間一般生活においても
さすが剣道をやっている人は違うな、と思われるような人間を目指すことが大切である。



 

良い試合(立派な試合)とはどういうことか

  全日本剣道連盟により、剣道の理念として次のことが示されている。

  「剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である。」この理念に基づき試合をするかとが大切である。

 剣道の試合ではただ勝つだけではなく、相手の技にも態度にも心にも勝つことを目指さなければならない。

  「剣道は礼に始まり礼に終わる」といわれているように、剣道から礼をとれば野蛮な打ち合いの競技に終わってしまう。

  よい試合とは、勝敗にこだわらず、基本の姿勢や技が保たれていて、無理がなく、剣道の目的が失われていないものである。

 よい試合をするためには、礼儀を重んじ、互いがすべての気力と技術を発揮し、真剣に正々堂々と戦うことを心がけなければならない。

  また基本を大切にし当てっこのみに執着せず基本を発展させた技を使用し観衆も立派な試合だと思えるような試合を目指すことが大切である。